2019.01.20
自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについては、これまでも専門家によって構成された検討委員会から報告書が提出され、見直し等が検討されてきた。
昨年の平成30年5月、新たな報告書が提出され、それを踏まえたシステムの充実が図られた。
具体的には、画像所見が明らかではない事案の審査にあたって、意識障害の有無・程度・持続時間や、症状の発現時期・経過等を適切に把握することができるよう、従前の照会様式の見直しが行われたようである。これらの詳しい内容は、損害保険料率算出機構のホームページでも紹介されている。
高次脳機能障害の等級認定調査にあたっては、脳損傷を示す画像所見が非常に重視されてきた。今後もその傾向は同様と思われるが、画像所見が明らかではない事案についても、意識障害の程度等を踏まえて、脳外傷による高次脳機能障害が生じているか否かを慎重に検討していく方向性にも言及されている。照会様式の見直しも、そのような意図で行われたものである。
被害者に配慮した変更だと思われるが、今回のシステム拡充を受け、実際の等級認定実務にどの程度の変化が生じるかは、今後の動向を見守っていく必要があると思われる。
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