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重度後遺障害

重度後遺障害

これからの長い人生を安心して暮らしていけるような環境づくり。
それを一緒に、全力でサポートします。

被害者とそのご家族の方へ

一瞬の交通事故によって人生が大きく変わってしまったことに、不安と後悔で胸が一杯だろうと思います。おそらくそれは、私がすべてを推し量ることはできないほど、深いものでしょう。
意識の回復を祈りながら付添いを続けるご家族、障害の重さに加え加害者の対応の悪さに苦しむご家族、これからの長い介護に不安を抱えるご家族、ショックから立ち直り、少なくとも新しい一歩を踏み出している被害者やそのご家族もいれば、なかなかそうはなれないご家族もいます。もちろん、全ての交通事故はそうなのですが、特に重度の後遺障害を残した場合には、ご家族に与える影響も大きく、その解決にはより多くのエネルギーが必要になってくるものです。

これからの長い人生を安心して暮らしていくために必要なこと

重度後遺障害の場合、やはり優先されるのは、長い将来を考えた十分な補償を得る、という点だと思います。将来必要となってくる費用は様々です。職業介護人費用、施設費用、将来治療費、家屋改造費、介護用車両購入費用 など、長い将来を安心して生きていくためには、実際には多くの費用が必要になると思います。こうした費用を的確に予測し、見積り、相手方に請求していくことが大切です。
また、基本的には、早期解決よりも、満足な補償を求め、時には裁判も辞さないという強い姿勢で臨むことが多いと思います。それは、満足のいく補償を獲得するためであると同時に、しっかりと戦うことを通じ、被害者やそのご家族が交通事故によるダメージを受け止めることにもつながるからです。仮に物理的なダメージの回復が難しいとしても、心理的なダメージの回復はできるはずですし、そうしなければ、未来の可能性まで失うことになってしまいます。微力ではありますが、何かお力になれたらと思っています。
私は、以前、非常に重い後遺障害を残しながらも、驚くほどに今の状況を受け止め、前向きに人生を生きようとされている方にお会いしました。初めてお会いしたときからそうでしたから、私の手柄でも何でもありません。ただ、もし私が、まだそのような気持ちになれていない被害者の方を支援できる機会があるならば、そうなれるための一助になれればと願っています。

損害算定の難しさ

重度後遺障害を残す場合には、長い将来を見据えた損害算定が必要になるわけですが、決して保険会社や加害者がそのためのサポートを積極的にしてくれるわけではありません。被害者側から積極的に動いていかなければ、十分な補償(安心)を得ることはできないのが、この重度後遺障害の分野といえます。
勿論、それは簡単なことではありません。将来介護費用の算定についても、施設介護にするのか、在宅介護にするのか、在宅介護だとして職業介護人の利用をどうするのかなど、様々な検討が必要になってくるためです。
また、重度後遺障害が残存している場合には、被害者の方に事故態様に関する記憶が残っていないことも珍しくありません。そうすると、過失割合に関して、加害者側とどのように争っていけばよいのかということも考える必要があります。
さらに、これは被害者にとっては良い話なのですが、重度後遺障害が残存している場合には、介護保険、障害年金などの社会保険給付、民間では自動車事故対策機構(NASVA)の給付金なども存在します。被害者側にも過失がある場合には、被害者側で加入している人身傷害補償保険の利用も積極的に検討すべきです。こうした様々な制度をどのように使っていくべきなのかも考えておく方が望ましいといえます。

重度後遺障害特有の損害について

1.将来介護費用

後遺障害のため将来に亘って介護が必要となる場合には、将来介護費用が損害として認められます。

■ 施設介護の場合
施設に入所している場合には、現在の施設費用を基に将来介護費用を算出することが可能です。

■ 在宅介護を予定している場合
在宅介護の場合は、様々な検討が必要となってきます。
実際に在宅介護をされている場合には、現状を基に将来介護費用の算定を行うことになります。現在、近親者による介護が行われている場合でも、将来、職業介護人による介護に移行する蓋然性が認められる場合には、そのことを証明し、職業介護人による介護費用の請求を行います。

実務的によく問題となるのは、現在は施設介護(又は入院中)であるが、近い将来、在宅介護に移行する予定という場合です。このような場合に在宅介護を前提とした将来介護費用の請求をするためには、次のような点を証明する必要があります。

在宅介護を前提とした介護費用を請求するために必要な証明

  • ①在宅介護が可能であること
    この点で特に重要なのは、医学的な観点から、在宅介護が可能ということです。これは医師の診断書等によって証明します。
  • ②在宅介護に移行する蓋然性があること
     在宅介護は可能だとしても、将来、実際に在宅介護を行うだろうという蓋然性がなければ在宅介護を前提とした介護費用の請求は認められません。たとえば、

    施設退所時期(一定の年数が経過すると退所が必要な施設に入所しているなど)
    施設の性格(施設介護から在宅介護への移行を目的とした施設であるなど)
    在宅介護に向けた準備状況(介護用品の準備、家屋の改造など)
    ・ ご家族の意向・状況(在宅介護を行う意思があり、それが客観的にも可能な家庭環境であることなど)
    このような事情から、近い将来在宅介護に移行する蓋然性を証明していく必要があります。

■ 介護計画を立てる際の注意点
将来の介護費用は、どのような介護計画を立案するかによって変わってきます。
介護は長年続いていくわけですから、肉体的・精神的負担を考え、職業介護人を上手く組み合わせていくこと等により、近親者にとって無理のない介護計画を立案することが大切です。
また、介護に当たる方も年齢を重ねていくことになりますので、その辺りも考慮に入れ、将来介護費の算定を行う必要があります。

■ 介護保険利用の際の注意点
介護保険を利用すると介護保険適用部分のサービスに関する自己負担額は1割(又は2割)となりますが、将来介護費用の算定に当たり、この介護保険の利用をどうするのかという問題が生じます。

2つの選択肢

  • ① 今後も介護保険を利用する前提で、自己負担額である1割(又は2割)部分だけを加害者に請求する
  • ②今後は介護保険を利用しない前提で、10割全額を加害者に請求する

②が一般的な選択肢となります。
なぜかというと、介護保険制度が今後も維持されるのか否か、維持されるとしても自己負担額が今の1割(又は2割)が維持されるのかが不透明であるため、それであれば、そもそも介護保険を利用しない前提で請求しておく方が安心だというわけです。
そして、介護保険を使わない前提での賠償金を受領すると、介護保険法21条2項により、今後は介護保険の利用ができなくなるので、注意が必要です。

私の対応方法

私は、このような案件を取り扱う場合には、賠償金を受領する際に、それがどちらの前提に立った金額なのかを明らかにし、こちらの意に反して介護保険が利用できなくなったりするという事態が生じないように注意しています。
2.将来の介護用品などの費用

介護には様々な介護用品が必要になります。たとえば、介護用ベッド、車椅子、介護用車両等が代表的なところですが、それ以外にも細々としたものが必要になります。
こうした費用については、介護計画立案の際に相談し、どのようなものが必要になるのかの見通しを立てておく必要があります。そして、耐用年数を考慮し、将来の買替えに要する必要の算定も行います。非常に細かい作業にはなりますが、とても大切なことです。

3.家屋改造費、新築費用

■ 家屋改造費
重度の後遺障害が残存し、従前暮らしていた住居での生活が困難となる場合には、家屋を改造する費用が損害として認められます。もちろん、必要かつ相当な範囲内という限定が付きますので、その点に関する主張立証を行っていく必要はあります。

立証のポイント

  • 工事個所ごとの費用を明示した見積書・明細書
  • 改造工事を施す前の状況が明らかとなる図面・写真
  • 改装後の状況が明らかとなる図面・写真
  • 改造の必要性に関する医師の意見書
  • 改造の必要性・工事費用の相当性に関する鑑定書
  • 工事を必要とする事情を記載した陳述書
  • 工事費用を支払った際の領収書

※勿論、これらが全て必要となるわけではありません。

■ 新築費用
個々の事情によっては、家屋の改造ではなく、新たに土地を購入し、新築工事を行う場合もあります。よくあるのは、従前暮らしていた住居が賃貸物件で、家屋改造ができないような場合 です。
そのような場合には、新築費用の一部分について損害として認められる可能性があります。特に転居費用や買替諸費用(仲介手数料や不動産登記費用など)に関しては、交通事故がなければ全く必要のない費用 であるため、認められやすいといえます。また、介護のための特別仕様部分がある場合には、その特別仕様部分にかかった費用も損害として認められやすいといえます。
これに対し、土地の代金、家屋の新築費用(特別仕様部分を除く)に関しては、難しい問題が存在します。
なぜなら、費用を支出する対価として土地や建物という財産の所有権を取得することになるため、全く損害は生じていないと見る余地があり、なかなか認められづらい部分となっています。
しかしながら、交通事故がなければ土地を購入したり家を建てたりする必要はなかったわけです。また、新築建物とはいっても、新築費用と同じ価格で転売できるわけではありませんから、そこには損害を観念し得ると思います。
したがって、新築の必要性・相当性を立証することにより、新築費用の一部を損害として請求していく余地はあると考えています。

私の取扱事例 (新築費用の一部が認められた事例)

明らかに特別仕様といえる部分は存在しませんでしたが、新築の必要性・相当性を丹念に立証することにより、判決において新築費用の一部が損害として認められた事例が存在します。

どのような資料を提出すればよいかは、個別具体的な事情によって変わります。正直に申しますと、決して簡単に認められる部分ではないため、事前の資料集めが非常に重要なところだと考えています。実際に新築工事を行う前に、どのような資料を予め準備すべきなのかをご相談ください。

4.成年後見人に関する費用

■ 成年後見人とは
高次脳機能障害や遷延性意識障害(いわゆる植物状態)のため、被害者の方ご自身で意思決定ができなくなった場合には、それを代理する者として、成年後見人の選任が必要となってきます。
民事の損害賠償請求をするためにも、成年後見人が必要となります。

■ 成年後見人に関する費用
成年後見人の選任は家庭裁判所に対する申立てに基づいて家庭裁判所が選任をするのですが、申立て等にかかる費用は、交通事故に伴う損害として補償の対象となります。
また、家庭裁判所から選任された成年後見人は、原則として、被後見人(被害者の方)が亡くなるまでの間、ずっと成年後見人の業務を継続することとなりますので、その間の報酬も発生します。そうした 成年後見人に対する報酬に関しても、交通事故に伴う損害として補償の対象となる可能性があります。

加害者(保険会社)の言い分

成年後見人の報酬に関しては、特に近親者が成年後見人となった場合、その業務はいわば親族間の恩情によるもので報酬などは発生していないなどという反論が加害者側(保険会社側)からなされることがあります。 交通事故がなければ、そうした労働も必要なかったわけですから、酷い言い分だと思います。
そもそも成年後見人が報酬を請求するか否かは成年後見人の自由で、請求があった場合に初めて、家庭裁判所が付与する報酬の額を決定することとなります(報酬は、成年後見人の財産から支払われます)。 私が取り扱った事例は、既に裁判所から報酬付与決定が出ているものでしたが、交通事故に伴う損害として認められました。
5.ご家族自身の慰謝料(近親者慰謝料)

ご家族の誰かが交通事故の被害に遭われ、怪我をされた場合には、ご家族も苦しい思いをされます。そのようなご家族の方に対しても、固有の慰謝料が支払われる場合があります。

直接の交通事故被害者の方に対して慰謝料が支払われることが前提になっていますので、あくまで間接的な位置付けとなってしまうご家族の方に関しては、慰謝料が認められる場合やその範囲は、限定的です。大まかにいうと、
①怪我の程度が重く、
②両親や子供のように近い関係にあるご家族
に対しては、近親者慰謝料が認められやすいといえます。
ただし、保険会社としては、おそらくは、ご家族からの主張がない限り、直接的な交通事故被害者の方への慰謝料とは別に、ご家族の方の慰謝料を自主的には提案しない場合が多いと思われます。
ご家族の方の慰謝料については、誰が、いくら請求し得るのかについて、明確な基準がありません。そのため、弁護士(専門家)と相談しながら、方針を考えていくことが重要だと思います。

障害年金の請求

重度後遺障害が残存している場合には、一定の要件を満たせば、障害年金を受給できる可能性があります。ここもその請求の仕方により、得られる金額に差が生じてしまう可能性があるため、注意が必要です。
この点に関しては、「障害年金の請求」をご覧ください。

そして、未来のために

ここで述べたすべての話は、結局のところ、被害者とそのご家族が今後の人生を安心して生きていけるための準備であり、また、新しい第一歩が踏み出せるようになるための準備です。皆さんと一緒に悩み、考えていきたいと思っています。

交通事故のダメージを乗り越え、
前向きな再出発ができるよう

榎木法律事務所は
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  • 学術的研究を通じ最新の議論にアンテナをはる研究活動と実務の二本立て
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  • 細やかな準備で安心してお任せいただくスピーディで丁寧な対応
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  • 後悔しないように最善を尽くしたいお客様に寄り添いともに歩む
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弁護士 榎木貴之

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交通事故問題の将来

愛知県内の人身事故発生件数(平成27年)は4万4369件と報告されています(愛知県警察本部交通部「愛知県の交通事故発生状況」)。死者数は213件と報告されています。年別の推移をみると、交通事故発生件数は年々減少しています。しかし、都道府県別発生状況をみると、愛知県は人身事故発生件数も死者数も全国一位となっています。愛知県内の地域別発生件数をみると、人口も多いからだと思いますが、名古屋市が最も多い1万4250件と報告されています。自動制御など自動化も徐々に進み、自動車の安全性能は格段に高まっているとはいえ、やはり自動車は「凶器」に違いありません(勿論、大変便利なものですが)。
私も名古屋市に住んでおり、事務所も名古屋駅前の錦通沿いにあります。名古屋市内を走る錦通、広小路通、桜通などは車線も多く、しかも直線ですから、特に夜間などは相当な速度で走行する車も珍しくありません。車線変更の際に合図を出す、一時停止では止まって安全確認をする、そういったことを守らないドライバーを見かけることもあります。私は弁護士として数多くの交通事故案件を取り扱う中で、交通事故被害に苦しみ、人生を大きく変えられた被害者の方を沢山見てきました。現在の法制度では満足な救済が受けられず、弁護士として悔しい思いをしたこともあります。ですから、そうした無責任な運転行為をみると、心の底から腹が立ちます。 ただ、こうした交通事故問題を巡っては、近い将来、大きな変化が起こると考えられます。とても望ましい変化です。それは、2020年代には完全自動運転が実現される見通しとなっているためです。当然ながら交通事故発生件数は大きく減少するものと思われます。また、仮に交通事故が起きたとしても、自動車の位置情報が数センチ単位で把握できるようになるわけですから、事故態様の再現も容易になります。ドライブレコーダーのような画像情報も保存されるようになるはずです。これまでは、当事者の話や現場の痕跡などから事故態様を再現していたわけですが、そうした作業は非常に簡略化されていくものと思われます。加害者側と被害者側の主張する事故態様が大きく食い違う、という事態も少なくなるはずです。さらに、完全自動運転となれば、もはやドライバーの責任を観念しづらくなるため、責任の所在についても大きく変化していくはずです。当然ながら、法制度、保険制度の大幅は見直しが必要となってきます。 これからの10年間は、交通事故を巡る問題が大きく様変わりする時期だと思います。まだ議論は始まったばかりですが、弁護士として大変興味を持っており、今後研究を進めていきたいと考えている分野です。そのような変化の中で、交通事故被害者側の弁護士として思うのは、新しい制度が、被害者側に不利なものであってはならない、ということです。変化を見守りつつ、必要であれば、声を上げていくことも弁護士として必要なことだと考えています。

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