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大切な家族を亡くされた方へ(死亡事故)

大切な家族を亡くされた方へ(死亡事故)

何をしなければならないのか、何ができるのか、
まずはそれだけ理解してください。
そして、一つ一つ、進めていきましょう。

刑事裁判への参加について

1.刑事手続の流れ

① 交通事故の発生
   ↓
② 捜査
交通事故発生後、捜査機関(警察及び検察)によって捜査が行われます。
現場の実況見分、加害者や目撃者等からの事情聴取などが行われます。
   ↓
③ 処分の決定
捜査の内容を踏まえ、検察官が加害者(被疑者)の処分を決定します。
そして、検察官が起訴(公判請求)と判断すれば、刑事裁判手続へ移行します。
   ↓
④ 刑事裁判
被害者参加制度の利用

2.刑事裁判への被害者参加制度

ご遺族の方が、加害者の刑事裁判に参加し、加害者に質問をしたり、検察官の権限行使に意見を述べたり、説明を求めたり、処罰意見を述べたりすることが認められています。
刑事裁判は、加害者(被告人)、その弁護人、裁判官、検察官の4者のみで手続が進められます。そのため、被害者やそのご遺族が刑事裁判に関与する場面は非常に限られていました。
そうした状況を打開し、被害者やそのご遺族が置き去りにされてしまわないようにという趣旨で始まったのが、この被害者参加の制度です(平成20年からスタートしました)。

3.被害者参加制度を利用する意味

私はこれまで50件前後の刑事事件の弁護人をした経験がございます。いずれも被害者参加制度がスタートした後でしたが、それでもこの制度が利用された数は非常に少ないものでした。
確かに被害者やそのご遺族の供述調書(警察や検察が事情を聞きとり、書面にまとめたもの)は刑事裁判の証拠として提出されます。しかし、それはあくまで書面に過ぎず、やはり実際の被害者の声とは程遠いように思います。
交通事故の被害者側案件を中心に取り扱う中で、刑事裁判が終了した後も後遺障害等で苦しみ続ける被害者の方を目の当たりにしてまいりました。刑事裁判の中では反省の弁を述べていながら、それが終わると被害者への謝罪には応じないような加害者もいました。また、これは保険会社側の問題だと思いますが、刑事裁判の中では任意保険でしっかりと補償すると言いながら、その後、保険会社が不当な払い渋りをする例も珍しくありません。
そのような中で、今思うのは、特に交通事故事件では、「被害者やそのご遺族が刑事裁判において置き去りにされているのではないか」ということです。
そして、特に死亡事故については、直接の被害者は既にお亡くなりです。そうすると、思いを伝えることは勿論、そもそも事故態様についてすら、真実を語ることができません。そのような事情から、特に被害者が置き去りにされてしまいやすい類型といえるのです。
ご遺族としては、悲しみと怒りの中、冷静な判断が難しかったり、その他の様々な手続に忙殺されていたり、喪失感のため行動を起こす意欲が失われてしまっていたりすると思います。刑事裁判への参加は、確かに大きな負担かもしれません。しかし、被害者の方がなぜ亡くなったのかを知り、そして、ご遺族の思いを伝えていくことは、大切なことだと思います。
被害者参加制度を利用する場合、弁護士を代理人として選任することが可能です。無理に参加する必要は勿論ありません。しかし、ご希望される場合には、代理人としてサポートしていきますので、ご安心ください。

事故態様、過失割合の検討について

事故態様及びそれに基づく過失割合の検討はとても大切です。
勿論それは死亡事故に限った話ではありませんが、死亡という結果が生じるほど危険な事故の場合、双方に過失が認められるような例も珍しくないため、軽微な事故に比べると、過失割合が争点になる例も多い ような印象を持っています。
事故態様の検討は、通常、刑事事件記録を取り寄せ、それを基に検討します。必要に応じ、交通事故現場に行き、確認を行います。やはり現場を見ることで、新しい気付きがあることは珍しくはありません。
また、先ほどの被害者参加制度の利用も、事故態様の把握に有益だと思います。

損害賠償請求の方法

1.誰が請求するのか

被害者の損害賠償請求権→ 被害者死亡によって相続人が承継(相続人が行使)

近親者固有の慰謝料請求権 → 元々近親者に発生した権利(当然に近親者が行使)

死亡に伴う損害賠償請求権は、被害者の死亡によって相続人に相続されると考えられています。したがって、相続人が加害者に対し、損害賠償請求を行います。
また、相続人ではなくても、一定の近親者については、固有の慰謝料請求権が認められる余地があると考えられています。

2.示談

加害者側が任意保険に加入している場合には、保険会社との間で示談交渉を行っていきます。そして、払い渋り等によって納得できる解決に至らない場合には、裁判等の手続を検討します。
ただし、死亡事故は交通事故の態様の中でも結果が最も重大なものですから、当然ながらご遺族の被害感情も強く、そもそも示談や和解による解決など考えられない場合もあると思います。そのような場合には、 示談交渉を経ず、最初から訴訟提起を行うという方針を採ればよいと思います。

3.自賠責への被害者請求

加害者側が任意保険に加入している場合には、保険会社と示談交渉を行うことになります。 しかし、何らかの事情によってその交渉が難航し、早期の支払を期待できないような場合には、自賠責に対し直接請求を行うという方法が考えられます。

4.裁判等

示談交渉での解決が難しい場合には、裁判等の手続を検討します。
裁判以外の紛争解決手続も存在しますので、ご遺族のご希望等を伺いながら、どのような手段を用いるか決定します。
詳しくは、「裁判・ADR」をご覧ください。

5.損害賠償の費目

死亡事故の場合、後遺障害事案とは異なった検討が必要になってきます。
いずれにしても、プロとして、しっかりサポートしていきますので、安心してお任せください。

示談等の時期について

不法行為によって生じる損害賠償請求権については、「損害及び加害者を知った時」から3年間行使しないときは時効によって消滅するとされています。
死亡による損害賠償請求権については、通常、死亡時から3年間で時効によって消滅します。
言い換えると、それだけの時間はあるともいえます。したがって、気持ちの整理がつかない中で、無理に早期の示談に応じる必要はないといえます。悲しみの中、冷静な判断ができないまま、示談に応じるようなことがあってはいけません。そういう意味では、「時間には余裕がある」ということも頭に置いておいてください。

交通事故のダメージを乗り越え、
前向きな再出発ができるよう

榎木法律事務所は
3つの約束をします。

  • 学術的研究を通じ最新の議論にアンテナをはる研究活動と実務の二本立て
    学術的研究を通じ最新の議論にアンテナをはる研究活動と実務の二本立て
  • 細やかな準備で安心してお任せいただくスピーディで丁寧な対応
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  • 後悔しないように最善を尽くしたいお客様に寄り添いともに歩む
    後悔しないように最善を尽くしたいお客様に寄り添い
    ともに歩む

弁護士 榎木貴之

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交通事故問題の将来

愛知県内の人身事故発生件数(平成27年)は4万4369件と報告されています(愛知県警察本部交通部「愛知県の交通事故発生状況」)。死者数は213件と報告されています。年別の推移をみると、交通事故発生件数は年々減少しています。しかし、都道府県別発生状況をみると、愛知県は人身事故発生件数も死者数も全国一位となっています。愛知県内の地域別発生件数をみると、人口も多いからだと思いますが、名古屋市が最も多い1万4250件と報告されています。自動制御など自動化も徐々に進み、自動車の安全性能は格段に高まっているとはいえ、やはり自動車は「凶器」に違いありません(勿論、大変便利なものですが)。
私も名古屋市に住んでおり、事務所も名古屋駅前の錦通沿いにあります。名古屋市内を走る錦通、広小路通、桜通などは車線も多く、しかも直線ですから、特に夜間などは相当な速度で走行する車も珍しくありません。車線変更の際に合図を出す、一時停止では止まって安全確認をする、そういったことを守らないドライバーを見かけることもあります。私は弁護士として数多くの交通事故案件を取り扱う中で、交通事故被害に苦しみ、人生を大きく変えられた被害者の方を沢山見てきました。現在の法制度では満足な救済が受けられず、弁護士として悔しい思いをしたこともあります。ですから、そうした無責任な運転行為をみると、心の底から腹が立ちます。 ただ、こうした交通事故問題を巡っては、近い将来、大きな変化が起こると考えられます。とても望ましい変化です。それは、2020年代には完全自動運転が実現される見通しとなっているためです。当然ながら交通事故発生件数は大きく減少するものと思われます。また、仮に交通事故が起きたとしても、自動車の位置情報が数センチ単位で把握できるようになるわけですから、事故態様の再現も容易になります。ドライブレコーダーのような画像情報も保存されるようになるはずです。これまでは、当事者の話や現場の痕跡などから事故態様を再現していたわけですが、そうした作業は非常に簡略化されていくものと思われます。加害者側と被害者側の主張する事故態様が大きく食い違う、という事態も少なくなるはずです。さらに、完全自動運転となれば、もはやドライバーの責任を観念しづらくなるため、責任の所在についても大きく変化していくはずです。当然ながら、法制度、保険制度の大幅は見直しが必要となってきます。 これからの10年間は、交通事故を巡る問題が大きく様変わりする時期だと思います。まだ議論は始まったばかりですが、弁護士として大変興味を持っており、今後研究を進めていきたいと考えている分野です。そのような変化の中で、交通事故被害者側の弁護士として思うのは、新しい制度が、被害者側に不利なものであってはならない、ということです。変化を見守りつつ、必要であれば、声を上げていくことも弁護士として必要なことだと考えています。

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