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2018.12.08

交通事故と第三者行為の傷病届

交通事故で健康保険を使用する場合、健保組合に対する「第三者行為の傷病届」の提出が求められる。

様々な健保組合のホームページ等を見ると、「第三者行為の傷病届」の提出を求める旨の注意喚起をしている。

しかし、おそらく、一般の方であれば、初めて聞くような話だと思う。

交通事故の場合には、加害者がいて、本来ならば彼が賠償責任を負担すべきである。つまり、健康保険を使って給付を受けたとしても、健保組合が加害者に代って支払をしたに過ぎず、その後に健保組合は加害者から回収をする。それを求償と呼んでいる。これに対し、普通の病気の場合には、加害者がいるわけではないから、求償などは生じない。

「第三者行為の傷病届」は、健保組合に対し、「本件事案には加害者がいて、求償すべき事案である」ことを知らせる意味を持つ重要な届である。

「第三者行為の傷病届」の提出を失念した場合、健保組合は加害者からの回収ができなくなる可能性がある。特に届が遅れ、求償権が時効にかかってしまった場合には、その危険が高まる。したがって、第三者行為の傷病届は、なるべく早めに出しておく方が無難である。

仮に当該届を出さなくても、病院から健保組合に送付されたレセプトの中に「第三者行為の事案である」旨が記載されている場合には、健保組合もその事実に気づき、被保険者に対して「第三者行為の傷病届」の提出を促してくる場合がある。しかし、病院のレセプトに記載がない場合等では、見落とされる可能性がある。

想像するに、当該届が未提出になっており、第三者行為の事案であることが見落とされている事案は、相当あるのではないかと思う。

対策としては、

①病院から患者に対し「第三者行為の傷病届」を出すように促すこと、

②病院としても第三者行為の事案か否かを明確に意識し、それをレセプトに反映させること、

③加害者側保険会社も被害者が健康保険を使用する場合には当該届の提出を促すこと、

④健保組合において届の必要性を周知すること、

等が考えられるが、現在のところ、いずれも不十分のような気がしている。

また、被害者側の弁護士からみると、「第三者行為の傷病届」は、必要以上に細かな情報の記載まで要求しているようにも感じられる。実際、被害者ご本人に当該届の作成をお願いしても、なかなかご自身で作成することは難しい場合も多い。確かに詳細な情報があった方が助かるのは事実だろうが、全ての事案で一律にそれを要求するのは被害者側への負担も大きい。

被害者側では通常知らない情報についてまで記載を求める詳細な書式に改善の余地はないのだろうか。もう少し簡略化し、被害者本人でも無理なく提出できる書式にしてほしいと感じることは、少なくない。

 

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弁護士 榎木貴之

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交通事故問題の将来

愛知県内の人身事故発生件数(平成27年)は4万4369件と報告されています(愛知県警察本部交通部「愛知県の交通事故発生状況」)。死者数は213件と報告されています。年別の推移をみると、交通事故発生件数は年々減少しています。しかし、都道府県別発生状況をみると、愛知県は人身事故発生件数も死者数も全国一位となっています。愛知県内の地域別発生件数をみると、人口も多いからだと思いますが、名古屋市が最も多い1万4250件と報告されています。自動制御など自動化も徐々に進み、自動車の安全性能は格段に高まっているとはいえ、やはり自動車は「凶器」に違いありません(勿論、大変便利なものですが)。
私も名古屋市に住んでおり、事務所も名古屋駅前の錦通沿いにあります。名古屋市内を走る錦通、広小路通、桜通などは車線も多く、しかも直線ですから、特に夜間などは相当な速度で走行する車も珍しくありません。車線変更の際に合図を出す、一時停止では止まって安全確認をする、そういったことを守らないドライバーを見かけることもあります。私は弁護士として数多くの交通事故案件を取り扱う中で、交通事故被害に苦しみ、人生を大きく変えられた被害者の方を沢山見てきました。現在の法制度では満足な救済が受けられず、弁護士として悔しい思いをしたこともあります。ですから、そうした無責任な運転行為をみると、心の底から腹が立ちます。 ただ、こうした交通事故問題を巡っては、近い将来、大きな変化が起こると考えられます。とても望ましい変化です。それは、2020年代には完全自動運転が実現される見通しとなっているためです。当然ながら交通事故発生件数は大きく減少するものと思われます。また、仮に交通事故が起きたとしても、自動車の位置情報が数センチ単位で把握できるようになるわけですから、事故態様の再現も容易になります。ドライブレコーダーのような画像情報も保存されるようになるはずです。これまでは、当事者の話や現場の痕跡などから事故態様を再現していたわけですが、そうした作業は非常に簡略化されていくものと思われます。加害者側と被害者側の主張する事故態様が大きく食い違う、という事態も少なくなるはずです。さらに、完全自動運転となれば、もはやドライバーの責任を観念しづらくなるため、責任の所在についても大きく変化していくはずです。当然ながら、法制度、保険制度の大幅は見直しが必要となってきます。 これからの10年間は、交通事故を巡る問題が大きく様変わりする時期だと思います。まだ議論は始まったばかりですが、弁護士として大変興味を持っており、今後研究を進めていきたいと考えている分野です。そのような変化の中で、交通事故被害者側の弁護士として思うのは、新しい制度が、被害者側に不利なものであってはならない、ということです。変化を見守りつつ、必要であれば、声を上げていくことも弁護士として必要なことだと考えています。

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