2016.09.02
後遺障害が残り、自賠責で14級などの等級が認定されると、通常はその等級に見合った後遺障害慰謝料などが支払われます。
しかし、後遺障害が残ったものの、自賠責では非該当と判断されてしまう場合があります。
その場合、後遺障害に伴う損害は一切認められないのかが問題となります。
重要なことは、非該当イコール治癒ではない、ということです。
自賠責は「将来においても回復が困難と見込まれる障害」のみを後遺障害と定義していますから、それに至らない障害は自賠責でいうところの後遺障害とは認定されません。
しかし、自賠責の後遺障害には該当しないとしても、治癒しているわけではないため、実際に残った障害の程度に応じた後遺障害慰謝料などは認められるべきだといえます。
したがって、私は、自賠責では非該当と判断されても、加害者(の加入する任意保険会社)に対し、実際の症状に応じた後遺障害慰謝料などの請求をしている場合が多いです。
その結果、裁判や示談交渉でそのような主張が認められた例も複数存在します。
ただし、現在の損害保険実務、裁判実務上、そのような主張はなかなか認められないのが実情です。
認めさせるには、それなりの根拠を示す必要があり、工夫を要するところです。
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