2020.03.03
パートをしながら自宅では家事もしている兼業主婦の休業損害をどのように算定するのか。
よくあるのは、夫の扶養の範囲内でパートをしている場合である。このような兼業主婦の場合、基本的な考え方としては、家事も合わせた合計収入を、380万円前後と評価する。
この380万円という数字は、女性の全年齢・学歴計の平均賃金である。つまり、家事も含めて380万円の年収を得ていると評価するわけである。
問題は、この先の方法である。
おそらく、弁護士によっても、色々と計算方法があると思われる。例えば、①年収380万円を365日で割って日額を出し、それに通院日数を掛けるような方法もあるだろう。
あるいは、②同様に算出した日額に、通院期間(実際の通院日数ではなく、全体の通院期間)を掛け、さらに休業割合(例えば、50%とか30%といった割合)を掛けて計算する方法もある。期間ごとに割合を変えて計算する場合もある。
もう少し緻密にやるならば、③パート分の休業損害と、家事分の休業損害を分けて計算する方法もある。パート分の休業損害は、実際の減収額を前提に算定すればよいので、計算は比較的簡単である。次に、年収380万円からパート分の年収を控除した残額を家事労働部分の年収と仮定し、それを365日で割って日額を出し、それに通院期間と休業割合を掛けるのである。
①②③の順番に、理論的には緻密になっていくように思われるので、個人的には③の方法を好んで用いている。ただ、結局は、割合の取り方などによっても変わるので、どの方法を用いても、最終的な結論には大差はないのかもしれない。
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