2016.08.16
物損に関してよく問題になるのは、代車期間です。
非常に大雑把な感覚でいうと、1ヶ月を超えてくると、なかなか厳しくなってくるという印象があります。もちろん、事案によって異なりますが。
よくトラブルになるのは、保険会社も被害者も放置していたような場合です。お互いに相手からの連絡を待っていて、修理も買替もしないまま、代車をずっと使い続けていたというような場合です。
果たして、放置していた期間分の代車費用は認められるのでしょうか。
ここで「損害軽減義務」という概念が存在します。要するに、被害者にも損害の拡大を防止するよう務める義務があるという発想です。
被害者の損害軽減義務を強調すると、被害者にも放置した点に落ち度があるから、放置した期間の代車費用は認められなくなります。
しかし、一方で、保険会社にも落ち度があります。
保険会社は示談交渉のプロであるのに対し、被害者は通常、素人です。そうすると、保険会社が主導するのが本来あるべき姿のはずです。
被害者としては、保険会社からの連絡を待っているという受け身の立場になるのは、仕方のないことです。
したがって、被害者が無理な主張をしているような場合を除き、放置の責任は保険会社側にあると思いますし、示談交渉や裁判の際には、その点を強く主張していく必要があります。
放置した全期間とはいかなくても、ある程度認められる余地はあると思います。
これに対し、被害者にも早い段階から弁護士が就いていた場合は、プロ(専門家)とプロ(専門家)の交渉となるため、話は随分と変わってくると思います。
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