2019.01.10
通勤中の事故、仕事中の事故に対しては、労災保険の利用が可能である。
交通事故の場合、通常は加害者側の任意保険が治療費等の支払を行うが、労災保険を利用し、労災保険で治療費を負担してもらう場合もある。
例えば、被害者側にも過失がある場合である(もちろん、労災保険を使用しない場合もあるが)。
その他には、不当に(早期に)加害者側の任意保険が治療費の支払を打ち切った場合である。勿論、治療の必要性があることが前提になると思われるが、労災保険は、労働者保護の発想が強いためか、損保会社よりも緩やかに治療費の支払に応じてくれることが多い。
また、自賠責保険で認定された後遺障害等級に疑問がある場合にも、労災保険での後遺障害等級認定を受ける場合もある。
労災保険の後遺障害等級認定の基準は、基本的に自賠責保険と同じである。しかし、その方法が少し異なる。大きな違いは、労災保険では、基本的に面談が行われるという点である。そのため、個人的には、より被害者の実情に即した(つまり妥当な)後遺障害認定がなされる傾向が強いような印象を抱いている。
また、労災保険を使用した場合には、交通事故に伴う損害賠償金とは調整の対象とならない特別支給金が支給される場合もあり、その点も労災のメリットである。
労災保険を使用するか否かは、その手間等を考え、微妙な事案も多い。専門家に相談するとよい問題である。
このような労災問題のように、交通事故に付随して生じてくる各種保険の問題(健保、各種自動車保険、年金など)にどこまで配慮できるかは、弁護士の腕の見せ所でもある。
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