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2021.11.30

故意免責が主張された場合の被害者側における検討事項

目次

    1 故意免責とは

    故意免責とは、加害者(賠償責任保険の被保険者)に故意がある場合に、保険者の保険金支払義務を免責することである。約款中における当該条項を、故意免責条項という。

    自動車保険における賠償責任保険との関係では、主に任意保険との関係で故意免責は問題となる(自賠責保険では、被保険者に故意(悪意)があっても、被害者の直接請求権は免責されないので)。

    ここでは、保険者から故意免責の主張があった場合において、被害者として検討すべき事項を整理する。なお、ここでは基本的には人身損害を念頭において説明する。

     

    2 他に賠償責任を負うべき被保険者の有無

    見落としやすい点として、故意免責には、「個別適用条項」が存在することである。その結果、故意免責の有無は、それぞれの被保険者毎に判断する必要がある。

    したがって、実際の運転者には故意があった場合でも、それ以外に賠償責任を負うべき者がいて、その者が当該自動車保険の被保険者になっている場合には、自動車保険金は支払われることになる。典型的には、Aという車両所有者がいて、その者から車を借りて運転していたBが故意に人身事故を起こした場合には、Aも運行供用者責任を負うので、Aが被保険者となっていれば、Aに対する請求との関係では自動車保険金が支払われる。

    ただし、この点で注意が必要なこととしては、故意に事故を起こした者が記名被保険者(主として車を使用する者)や保険契約者となっている場合には、個別適用条項の適用はなく、保険金は支払われない(免責されてしまう)。

    したがって、運転者に故意があると主張された場合には、その他の賠償義務者の存在を検討する作業が必要である。もちろん、自動車保険の被保険者とはならない者でも、責任主体は多いに越したことはないので、なるべく広く検討することが有益である(物損事故の場合には、自賠法上の運行供用者責任は生じないが、共同で危険運転を行っていた同乗者などに不法行為責任を認める裁判例は存在する。)。

    (個別適用条項に関しては、佐野誠「自動車責任保険における故意免責条項と被害者救済」保険学雑誌654号5頁以下(2021年)が詳しい)

     

    3 ファーストパーティ型保険・労災保険の有無

    上記のような賠償責任保険が見当たらない場合には、被害者自身のファーストパーティ型保険(人身傷害保険や無保険車傷害保険など)の有無を検討する必要がある。この場合、自賠責保険への請求を先行した上で人身傷害保険を使用するのか否かなど、保険の性質を踏まえた請求順序の問題も検討が必要かもしれない(私も現在、この点は検討中の課題であるので、確定的な言及は控えます)。

    また、てん補範囲は限られるが、労災保険の適用の有無も、検討する必要がある。この点に関し、自賠責保険に先行して労災保険金が支払われた場合、労災保険は自賠責保険に求償する可能性があるので、被害者としては、その前に自賠責保険金の回収をしてしまう方が無難かもしれない(ただし、自賠責保険の担当者から口頭で聞いた情報によると、現在は、労災からの求償があった場合には、被害者に請求意向の有無を確認する運用を取っているようではある。)。被害者としては、対人賠償責任保険が故意免責で使えない以上、自賠責保険の枠を最大限活用した方がよいからである。

     

    4 故意免責の適用の有無

    この点も当然のことであるが、故意免責が認められるべき事案か否かの検討も必要である。

    故意免責に関し、最高裁は、傷害の故意で死亡の結果が生じた場合には、死亡の結果に対する故意は認められないと判示している。すなわち、結果に対する認識・認容を必要としている。

    そこで、一歩進んで、傷害の故意で後遺障害の結果が生じた場合に故意免責が認められるのかが問題となるが、この点に関しては、最高裁はなく、下級審判例としては、いずれの立場の裁判例も存在する。

    次に、故意の立証責任は、免責を主張する保険者側にあるというのが最高裁の見解である(これに対し、傷害保険の場合は、保険金請求者側に故意ではないことの立証責任が課される)。したがって、立証できるだけの材料があるのか否かという検討も必要である。裁判例の一般的な傾向からすると、事故状況だけから故意を直ちに推認するのではなく、動機その他の間接事実も考慮して故意の有無を判断している。ただし、このような証拠資料は加害者側・保険者側に遍在することが多いであろうから、訴訟提起前に十分な資料を収集することは容易ではない可能性がある。

     

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