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2021.01.27

中間利息控除率と現実との乖離

交通事故の損害額を計算する際、将来現実化する損害に対しては「中間利息控除」を行う。

例えば、逸失利益である。すなわち、後遺障害が残ったことによって労働能力が失われると、将来の収入が減少する。この減少分を逸失利益と呼ぶ。

将来の収入は、本来なら、日々就労することによって徐々に現実化するものである。したがって、逸失利益も、本来なら、徐々に現実化していくものである。

しかし、損害賠償金は、通常、定期金という方式ではなく、一時金として、示談時等に一括して支払われる。

そのため、当該収入を本来得る時期よりも早期に賠償金を受領することとなり、理論上は、当該賠償金を運用することによって利益が得られる。したがって、一時金としての逸失利益を算定する際には、その運用利益相当額を控除しなければならないという発想が生じる。単純な例を挙げると、10年先にもらう100万円を今受領することになれば、現在価値としては70万円と評価するという話である。そのような調整に用いるのが、中間利息控除率である。令和2年4月からは3パーセント、それ以前は5パーセントと設定(法定)されている。

しかし、通常の感覚として、年間3~5%での運用は、簡単なことではない。この率は、ある程度の努力をし、リスクを引き受けることによって、実現可能な数値のはずである。

少なくとも、賠償金受領者が、そのような積極的な運用を行い、年間3~5%の利益を得ているとは、思えない。この点は、やはり、現実に即していないと言わざるを得ない。

仮に、3~5%での中間利息控除を行うのであれば、そのような運用を実現するために要する費用(例えば、投資に要する手数料など)を「損害」として加算しないと、被害者にとっては酷なようにも感じるところである。

交通事故のダメージを乗り越え、
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弁護士 榎木貴之

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交通事故問題の将来

愛知県内の人身事故発生件数(平成27年)は4万4369件と報告されています(愛知県警察本部交通部「愛知県の交通事故発生状況」)。死者数は213件と報告されています。年別の推移をみると、交通事故発生件数は年々減少しています。しかし、都道府県別発生状況をみると、愛知県は人身事故発生件数も死者数も全国一位となっています。愛知県内の地域別発生件数をみると、人口も多いからだと思いますが、名古屋市が最も多い1万4250件と報告されています。自動制御など自動化も徐々に進み、自動車の安全性能は格段に高まっているとはいえ、やはり自動車は「凶器」に違いありません(勿論、大変便利なものですが)。
私も名古屋市に住んでおり、事務所も名古屋駅前の錦通沿いにあります。名古屋市内を走る錦通、広小路通、桜通などは車線も多く、しかも直線ですから、特に夜間などは相当な速度で走行する車も珍しくありません。車線変更の際に合図を出す、一時停止では止まって安全確認をする、そういったことを守らないドライバーを見かけることもあります。私は弁護士として数多くの交通事故案件を取り扱う中で、交通事故被害に苦しみ、人生を大きく変えられた被害者の方を沢山見てきました。現在の法制度では満足な救済が受けられず、弁護士として悔しい思いをしたこともあります。ですから、そうした無責任な運転行為をみると、心の底から腹が立ちます。 ただ、こうした交通事故問題を巡っては、近い将来、大きな変化が起こると考えられます。とても望ましい変化です。それは、2020年代には完全自動運転が実現される見通しとなっているためです。当然ながら交通事故発生件数は大きく減少するものと思われます。また、仮に交通事故が起きたとしても、自動車の位置情報が数センチ単位で把握できるようになるわけですから、事故態様の再現も容易になります。ドライブレコーダーのような画像情報も保存されるようになるはずです。これまでは、当事者の話や現場の痕跡などから事故態様を再現していたわけですが、そうした作業は非常に簡略化されていくものと思われます。加害者側と被害者側の主張する事故態様が大きく食い違う、という事態も少なくなるはずです。さらに、完全自動運転となれば、もはやドライバーの責任を観念しづらくなるため、責任の所在についても大きく変化していくはずです。当然ながら、法制度、保険制度の大幅は見直しが必要となってきます。 これからの10年間は、交通事故を巡る問題が大きく様変わりする時期だと思います。まだ議論は始まったばかりですが、弁護士として大変興味を持っており、今後研究を進めていきたいと考えている分野です。そのような変化の中で、交通事故被害者側の弁護士として思うのは、新しい制度が、被害者側に不利なものであってはならない、ということです。変化を見守りつつ、必要であれば、声を上げていくことも弁護士として必要なことだと考えています。

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